まだ途中(18)
アジアで仕事をするようになると、アメリカやヨーロッパとは違う驚きがたくさんありました。
日本と距離が近いこともあり、文化や生活習慣はどこか似ています。
だからこそ、「えっ、そんなことがあるの?」と思う出来事に出会うことも少なくありませんでした。
当時、私が担当していた製品は特殊な電子機器でした。
一度納入すると長いお付き合いになることが多く、担当者が納得するまで説明を続け、時には工場で夜を明かすこともありました。
ある日、納品先から
「設置が終わりましたので、立ち会いをお願いします。」
と連絡が入りました。
私は当然、機器の動作確認や操作説明をするものと思い、準備をして訪問しました。
研究室には、すでに機器がきれいに設置され、担当者の皆さんが私の到着を待っていました。
「えっ?」
機器の周りに豚の頭や海藻のようなお供え物が並べられていました。
「いったい何が始まるんだろう。」
そう思っていると、新しい機器の安全と成功を願う、お祓い(儀式)が始まったのです。
もちろん私も、その儀式に参列することになりました。
説明をする気満々で訪問した私は、完全に拍子抜けです。
それでも儀式が終わると、改めて機器の説明を行い、無事に研修も終えることができました。
世界は広いものです。
電子機器の据え付けに、お祓いを行う。
そんな習慣があるとは夢にも思っていませんでした。
海外へ行くたびに、新しい文化や価値観に出会える。
それも海外で仕事をする楽しさの一つだったのかもしれません。
次回は、アジアが誇る世界企業で働く技術者から聞いた、思わず「なるほど」とうなった話をお届けしたいと思います。

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