レストランでは経験できないこと

まだ途中(22)

皆さんは、フィリピンに行かれたことがありますか?

私は仕事で、フィリピンに5年ほど通いました。

行き始めの頃は、安心・安全を優先して、5つ星ホテルに連泊していました。

ハイアット・ホテル、マニラホテル、シェラトン。そして今はなくなりましたが、当時、日本人に人気だったシラヒスホテル。

どれも懐かしいホテルです。

さすが5つ星ホテル。清潔さ、サービス、セキュリティーと、宿泊料金以外は文句のつけようがありません(笑)。

何と言っても、ホテル内のレストランが素晴らしかった。

部屋には必ずと言っていいほど、大皿に盛られたフルーツのサービスがあり、仕事以外はホテルの中で済ませることがほとんどでした。

そんな生活を何年か続けているうちに、フィリピンにも友人ができ、家に招待されることが増えてきました。

豚の丸焼き、ヤシの実を使ったソースが特徴のカレーのような料理「カレカレ」、そして少し酸味のある「シニガンスープ」。

どれもフィリピンでは定番の料理です。

ところが、初めて家庭で食事をした時、少し驚きました。

料理もご飯も、ほとんどが冷たいのです。

「フィリピンは暑い国だから、料理も冷たいんだろう」

私は、勝手にそう思い込んでいました。

ところが、本当のフィリピンの食事には、もっと面白いスタイルがありました。

素手で食べる「カマヤン」です。

ニュースなどで見たことはありましたが、私はてっきり庶民的な食事スタイルだと思っていました。

バナナの葉をお皿代わりにして、その上にご飯を盛り、カレカレなどの料理をのせる。

そして、ご飯と料理を指でつまみ、親指を使って口の中へ運ぶ。

最初は少し戸惑いましたが、これがなかなか面白い。

5つ星ホテルの高級レストランでは、まず経験できない食事でした。

長いテーブルを囲み、大勢の家族や友人と一緒にカマヤンで食事をする。

それこそが、レストランでは味わえない時間でした。

現地へ行き、現地の人たちと同じように食べ、同じ時間を過ごす。

料理そのものの味ももちろん印象に残っていますが、それ以上に、人の温かさを感じる時間だったように思います。

次回は、フィリピンの屋台の味についてお話しします。

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