まだ途中(12)
私は、一度だけ世界一周をしたことがあります。
と言っても、世界の名所を巡る豪華旅行ではありません。
仕事で、ドイツにいる大学教授に会いに行ったのです。
せっかくヨーロッパまで行くのだからと、
ドイツの後にフランス、イギリス、アメリカを回り、
結果として世界を一周する形になりました。
今回会う教授は、その分野では世界的に著名な方。
正直なところ、かなり緊張していました。
何しろ、専門的な話についていけるのか。
言葉は大丈夫なのか。
不安ばかりでした。
そこで、普段からお世話になっていた日本の大学教授に相談しました。
この先生も、その分野では日本を代表するような先生です。
ところが、とても気さくな方で、
私のような専門知識の浅い人間にも、気さくに接してくれる。
研究室もどこかアメリカ風で、
いわゆる「大学教授」の堅いイメージとは少し違う方でした。
私は、そんな先生が好きでした。
相談すると話は意外な方向へ進みます。
「一緒に行きましょうか」
まさかの同行です。
一人旅の緊張。
言葉の問題。
そして、一番気が重かった学術的なインタビュー。
その不安が一気に軽くなりました。
気づけば、不安だった出張が、少し楽しみな旅に変わっていました。
最初の目的地は、ドイツのカールスルーエ。
直行便はなく、フランクフルトから鉄道で向かいます。
飛行機はルフトハンザ航空。
エコノミークラスでしたが、ツアー用ではなく通常席だったので、
9時間ほどのフライトも快適でした。
それまで海外の航空会社に、
サービスや食事を期待したことはありませんでした。
ところが、機内に入って少し驚きました。
客室乗務員(昔はスチュワーデスと言いましたね)が、
笑顔で迎えてくれたのです。
機内もとてもきれいでした。
食事も、日本発だからでしょうか。
なぜか「茶そば」が付いていた。
40年以上たった今でも、それを覚えています。
当時、
「ドイツへ行くならルフトハンザが一番」
と言われていた理由が、少し分かった気がしました。
次回は、フランクフルトから列車に乗り換え、
何とかカールスルーエ駅にたどり着いた時のお話をしたいと思います。

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